胃がんリスク層別化検査とは

胃がんリスク層別化検査は、血清ペプシノゲン値とヘリコバクターピロリIgG抗体価により、胃がんのリスクを層別化する検査です。

1)胃がんリスク層別化検査のカットオフ値
血清ペプシノゲン値(PG値)はPGⅠ≦70かつPGⅠ/Ⅱ≦3を陽性(+)のカットオフ値とし、HPIgG抗体検査の陽性(+)陰性(-)判定は測定キットのカットオフ値による。
胃がんリスク層別化検査の結果、胃がんリスクをA群[Hp(-)PG(-)]、B群[Hp(+)PG(-)]、C群[Hp(+)PG(+)]、D群[Hp(-)PG(+)](D群はC群と区別せずC群[PG(+)]としても可)の4群(3群)に層別化します。なおピロリ菌除菌後は検査値によらず胃がん有リスクのE群[eradication(除菌)群]とします。

2)胃がんリスク層別化検査が正しく判定されない要因
ピロリ菌除菌、消化性潰瘍の治療、プロトンポンプインヒビター内服、胃切除、腎機能障害、免疫能低下、ステロイド投与、免疫抑制剤投与などは、胃がんリスク層別化検査に影響を与えます。
上記の問診は必須事項です。

3)実施頻度
胃がんリスク層別化検査は、逐年の必要はなく、原則として成人の場合は生涯一度でよい。
カットオフ値近傍では判定が変動する可能性や、胃粘膜萎縮の進行による変化もあるので、再検してもよいのですが、症状の改善により胃がんリスクが低下したという誤解がないように留意します。

4)A群に混入する胃がん有リスクピロリ菌感染既往及び現感染とその対策
ピロリ菌除菌歴など、胃がんリスク層別化検査に影響を与える事項について問診を行うことが最も大切です。
血清Hp抗体価陰性高値(E-プレート‘栄研’H.ピロリを用いた場合は3U/ml以上10U/ml未満)の場合はピロリ菌感染既往の可能性が高い。
PG値については、以下の場合、ピロリ菌感染既往の可能性が高い。
(1)PG Ⅱ≧ 12ng/ml やⅠ/Ⅱ比<4.5、高齢者の多い集団ではPGⅠ<30ng/ml
(2)PG Ⅰ/Ⅱ<4 以下
(3)PGⅠ/II 比が3 に近い場合やPG II ≧15
(4)PG I≦ 30 or PGII > 30 or PGI/II ≦2.0
ピロリ菌感染既往が疑われる場合は、
一度は内視鏡検査を行い、背景胃粘膜診断との対比を行い、ピロリ菌感染既往または現感染の可能性が高い場合は、胃がん有リスクとして定期的内視鏡検査の対象とします。
血清Hp抗体価陰性高値の場合は感染診断保留とし、他の手法でピロリ菌感染診断を行ない、陽性であれば胃がん有リスクとして定期的内視鏡検査の対象とします。

出典:
H.pylori感染の診断と治療のガイドライン」2016改訂版(発行日2016年8月1日/先端医学社)編集:日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会
東京都医師会雑誌69巻第4号(通巻664号)(発行日:平成28年5月15日)「東京都目黒区胃がんリスク(ABC)検診データベースの解析−血液検査値の分布と偽A群の検討−」笹島雅彦ら
Helicobacter Research2015年12月号(Vol.19 no.6/先端医学社)「胃がんリスク検診(ABC検診)におけるHelicobacter pylori 感染診断」笹島雅彦ら
「胃がんリスク検診(ABC検診)マニュアル改訂第2版―胃がんを予知して,予防するために」認定NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構 編(南山堂) 2014
Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci. 2011 Jul 25; 87(7): 405–414.Gastric cancer screening by combined assay for serum anti-Helicobacter pylori IgG antibody and serum pepsinogen levels — “ABC method”
Kazumasa MIKI

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