・・・・内視鏡検査が個人の胃がんを発見する上で、現在最も優れた検査であることに異論を唱える消化器科医はいないと思うが、・・・・内視鏡検査の前にリスク検査を行うと対象が集約される。横須賀市の場合、受検者のうち46%がB, C, D群なので、精密検査として内視鏡検査を行う数は全受検者の半分以下に抑えられる。この集約された対象に精検として行われる内視鏡検査の陽性反応的中率は1.38%である。仮に、1次検診として内視鏡検査を行う場合の陽性反応的中率は、今回のがん発見率に近似するはずなので0.48%となる。リスク検査で対象を適切に集約すると、一次検診として最初から内視鏡検査を行う場合に比べて約3倍効率的な(つまりコストは節約でき、マンパワーは温存できる)検査になる。さらに、B, C, D群の全てにおいて陽性反応的中率は、いずれもがん発見率を上回っている・・・・私が考える胃がん検診はこうだ。まずはより若年で低侵襲的に広くピロリチェックを行う。陽性者には内視鏡を行った後に除菌を行い、その後は粘膜の萎縮の程度に合わせた間隔で内視鏡検査を行っていく。陰性者に対しては、あるいは対策型検診としての内視鏡検査は不要かもしれない。