2016年、富士フイルム和光純薬㈱はラテックス法キットである「LタイプワコーH.ピロリ抗体・J」(以下L-HP・J)を発売…ラテックス法には、より短時間で結果が得られるという利点…今回はL-HP・Jテストの有用性の検討…ELISA法との比較検討を行い…L-HP・Jテストは汎用の自動分析装置を用いて好きな時に測定が可能で、E-plateと異なり洗浄の工程を必要とせず1検体約10分で測定可能…本検討で用いたキットはL-HP・JとE-plateで、カットオフ値は添付文書にあるようにそれぞれ4U/ml、10U/mlと設定し…ピロリ感染診断は内視鏡所見および尿素呼気試験(UBT)を基に行い…ピロリ未感染症例は、内視鏡所見上萎縮がなく、胃炎の京都分類上活動性胃炎を認めないもの、かつUBT陰性(≦2.4%)のものとし、ピロリ現感染症例は内視鏡上萎縮及び、または、活動性胃炎を認め、かつUBT陽性であるものと定義…期間は2017年9月から2019年2月…ピロリ未感染症例90例、現感染症例90例の合計180例を対象に検討…L-HP・Jは診断精度が担保された検査である…E-plateはL-HP・Jと比較して試験例を有意に陰性と評価する傾向…E-plateは偽陰性率が高い…L-HP・JはE-plateと同等の診断精度を示し、さらにE-plateと比較して十分な感度が得られ、H.pylori現感染症例の拾い上げとして有用なキット…L-HP・Jは迅速で十分な診断精度を有すること、特に感度の面で現感染症例の拾い上げに有用…しかし、偽陰性・偽陽性症例が少数ではあるものの存在することから、内視鏡所見との乖離がみられた際には抗体法以外の検査法を用いて総合的に判断することも重要です。