血清抗Helicobacter pyloriH. pylori)抗体検査試薬は、栄研化学の「Eプレート‘栄研’H.ピロリ抗体II(E-plate)」が広く用いられていますが、陰性高値に該当する症例へ配慮が
必要な点、多数の検体処理に向かない点で、自動分析装置で短時間に多くの検体処理を可能とする汎用性が高いラテックス法に切り替える動きが加速しています。・・・今回、H. pylori 感染診断の血中抗体測定試薬のスタンダードであるE-plate を対照に、ラテックス法(「LZテスト‘栄研’H.ピロリ抗体(栄研L)」、「LタイプワコーH.ピロリ抗体・J(和光L)」)両者の診断精度を検討しました。・・・上部消化管内視鏡検査を実施した899名・・・年齢の中央値は43歳・・・抗H. pylori 抗体価のカットオフ値は、添付文書通り、E-plateと栄研Lでは10 U/ml以上を、和光Lでは4 U/ml以上を陽性とし、また、日本ヘリコバクター学会による注意喚起の内容を踏まえEplateでは3 U/ml以上を陽性とした検討も併せて行いました。・・・キット間での不一致率の検定において、栄研LはEplate10との間に有意差を認めず、E-plate3とは有意差を認めました。また、E-plate3に比べ、栄研Lの陽性一致率や内視鏡的H. pylori 感染診断に基づく感度は有意に低く、偽陰性率・偽A群率は有意に高値でした。一方、和光Lは感度・偽陰性率・偽A群率のいずれもEplate3と有意差を認めませんでした。