がん予防策・検診には利益とともに不利益も存在するということは忘れられがちです。いずれも健康人に提供されるものである以上、不利益は最小限でなくてはなりません。がんの予防・危険因子に関するエビデンスが蓄積されることにより、確立した要因から、がんのリスクをその高低で分類できるようになってきました。近年では胃がんにおいてはピロリ菌感染およびペプシノーゲン値に基づくいわゆるABC分類が注目されています。
これまでにABC分類とその後の胃がん罹患との関連について検討した前向き研究は4件あり、これらを統合したメタ・アナリシスによるとA群を基準としたときのB, C, D群の胃がん罹患の危険度はそれぞれ4.47倍 (95%信頼区間: 1.83-10.03)、11.06倍 (4.86-25.58)、14.78 倍(6.46-38.21)でした。