胃がんについては、ピロリ菌抗体検査(Hp)とペプシノゲン値検査(PG)の組み合わせを用いたABCD群別に、生涯累積リスクを算出した結果が報告されている。…A群、B群、C群、およびD群の生涯累積胃がん罹患リスクは、男性でそれぞれ2.4%、10.8%、26.7%、および35.5%、女性でそれぞれ1.2%、5.5%、13.5%、および18.0%である。…特定の部位のがんのリスクがこれほど大きくなることは、ピロリ菌による胃がんリスクの大きさを物語っている。…死亡率で同様に男女別生涯累積リスクを算出した結果であり、男性でA、B、C、D群それぞれ0.8%、3.6%、9.0%、および12.0%、女性でそれぞれ0.4%、1.7%、4.2%、および5.7%である。…男女とも除菌後のリスクは一つ下の群(B群の場合A群、C群の場合B群)のリスクより高いままである。除菌後の胃がん発症リスクの減少効果は、萎縮性胃炎の有無などによって効果が異なることが指摘されている。リスク層別による胃がん予防を実装してゆく際の課題として、年齢や胃粘膜の状態などによる条件について、除菌による効果を最大化する方策を検討することが必要だと考えられる。