胃がんはわが国で年間5万人が亡くなっており、全がん中死亡者数で3番目となっている。現在では日本における胃がんの98%がピロリ菌によって引き起こされていることが明らかになってきており、一言で言えば胃がんの大半はピロリ菌によって引き起こされる感染症といってよい。…わが国の胃がんの撲滅において重要なのは、ピロリ感染胃炎の総括班を厚労省に設置して、胃がん撲滅の司令塔としての役割を果たしてもらうのがよいと考える。その方策として、ピロリ感染胃炎を五類感染症に指定してもらう。次いでピロリ菌検査の無料化を行い、胃炎医療コーディネーターを育成するという三つの施策を提案したい。この施策により、ピロリ感染胃炎の診断、治療へと住民を導くこと可能と思われる。わが国のピロリ感染胃炎対策をどの地域でも同じように受けられるようにすることが重要である。この提案は肝炎対策と比較すると費用がほとんどかからず、肝炎対策以上の効果が期待される可能性が高い。