胃がんリスク層別化検査と胃がん内視鏡検診の全国的な普及に伴い、さらなる胃癌の早期発見、早期治療が求められる時代となった。胃癌の早期発見に最も有用な検査が内視鏡検査であることは疑う余地はないが、内視鏡検査にも一定の頻度で見逃し、つまり“偽陰性”が存在する。…第一の原因として、胃内の不充分な観察があげられる。…次に胃癌の認識の問題がある。…この胃癌の検出能力は医師によって大きな開きがある。…機械学習、ディープ ラーニングの技術革新により、ここ数年でAIの能力は飛躍的に進化した。AIの得意な分野は画像認識であり、この領域ではすでに人間の能力を超えていると言われている。…このプロトタイプのAIは6mm以上の胃癌を98.6%の感度で検出した。…胃癌を検出する感度、特異度は、AIは58.4%、87.3%であり、内視鏡医は31.9%、97.2%であった。…病変が画面内に写り込んでからAIが認識するまでに要した時間はわずか1秒(中央値)であった。…胃全体が網羅的に観察されたかどうかを確認するAIも開発されており、観察漏れによる胃癌の見逃しを減らす効果が期待される。…内視鏡診断をサポートするAIは偽陰性癌の対策に有効なツールとして有望視することができる。