・・・約5万人と横ばいであったわが国の胃がん死亡者数もようやく減少に転じた・・・現在では65歳以上の高齢者が胃がん死亡の9割近くを占めている・・・これからの胃がん対策・・・高齢者の胃がん死亡者数が増えて、若年世代の胃がん死亡者数はむしろ減少していることは望ましい推移である。出生コホート分析で示したような若年世代での胃がん死亡率の減少はヘリコバクタ・ピロリ菌感染率の減少に大きく依存していることに加え、生活環境や食習慣の変化、診断と治療といった医療の進歩、そして部分的には胃がん検診の影響もあった推移と推察されるが、この推移をさらに推進すること・・・働き盛りの40歳代や50歳代の胃がん死亡者を現在以上に減らす必要があること・・・40歳代や50歳代の胃がんをかかりつけ医の健康管理として濃密に計画的に管理すること・・・高齢者の胃がん死亡に対しては、特に全胃がん死亡者の約1/4を占める余命も比較的長い65-74歳の前期高齢者をターゲットとした取り組みが必要である。以上、世代の現状に応じた、アクセントを変えた取り組みをすることが肝要であり、地域や職域において、いわゆるorganized screeningを推進する必要がある。