JA岐阜厚生連は8病院を有する県下最大の医療組織であり、今までにも検診事業などの予防医学に積極的に取り組んでいるが、その一環として国内3台目となる経鼻内視鏡を搭載した検診車を整備した…光源装置は富士フイルムメディカル社製Advancia
HDで、23本の細径スコープ(EG-580NW2)を装備している。医療スタッフは最寄りのJA岐阜厚生連病院に勤務する日本消化器内視鏡学会専門医および内視鏡センター看護師を中心に配置…2017年度から導入した山県市(個別検診と検診車による集団検診の併用実施)では受診率は5.0%台から11%台へ飛躍的に向上し、がん発見率や陽性反応的中度は胃X線よりも胃内視鏡が高く、精度の高い検診が実践出来ていた。…今後の課題…メリハリのある政策)が求められる。次に内視鏡検診に係るスタッフ不足である。現在の画一的な対象者設定は改め、ピロリ菌感染の有無による胃がんリスク層別化などによりハイリスク対象者を絞り込んで検診を行うことが重要である。…検診体制広域化(市町村単位でなく都道府県主導の検診体制)による自治体間格差の是正、医療資源の偏在の是正である。我々の検診車による巡回胃内視鏡検診は、この点において非常に有用、…結語:我々の活動は、胃がん内視鏡検診の導入を躊躇する自治体が抱える問題である「内視鏡医不足」、「読影医不足」そして「煩雑な検診体制確立」を同時に解決しうる取り組みである。今後もこのシステムを広く普及させることで医療過疎地区の検診活動の一助となり, 全体での胃がん死亡率減少に貢献したい。また今後、続々と全国で胃内視鏡検診車が展開されることを強く期待している。