2015年に国立がん研究センターから公表された「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版」により胃内視鏡検診が推奨され、翌年には厚労省の指針改訂に至りました。ガイドラインでは、胃内視鏡検診は50歳以上を対象とし、検診間隔は2年となっています。…韓国では大規模データベースを用いて、胃内視鏡検診の症例対照研究を行い…検診間隔を2年に設定した場合でも、54%の死亡率減少効果が認められ…、4年以上に延長した場合でもその効果は継続することがわかりました。我が国で行われた症例対照研究でも…胃がん診断日から遡ること3年以内に1度でも胃内視鏡検診を受診した場合…有意な胃がん死亡率減少効果を認めました。…胃がん発症リスクについては、国内研究のメタ・アナリシスが行われています。ヘリコバクターピロリ抗体陰性、ペプシノゲン法陰性であるいわゆるA群に比べ、いずれかが陽性であるBCD群では胃がんリスクが増加することが示されています。…内視鏡検診は従来のX線検診よりも感度が高く、より早期のがんを発見することができます。…X線検診よりも検診間隔を延長しても、死亡率減少効果が得られることが知られています。…リスク層別化を内視鏡検診に応用することが考えられています。背景リスク別の検診間隔を設定し、リスク別に検診間隔を延長できるかを検証する、AMEDが全国規模で行われています。…リスクの層別化はこれまでの血清診断だけではなく、内視鏡診断、ピロリ菌除菌歴、個人の背景要因(年齢、家族歴、喫煙など)を考慮し、内視鏡検診に応用可能な新たなリスク層別化を検討しています。