診療分野の専門化や技術革新により、医療提供体制は大きな変化を遂げ、多職種連携が求められている。がん検診分野においても、従来から保健師・看護師、放射線技師との連携が重視されてきたが、新たに導入された胃内視鏡検診も例外ではない。…胃内視鏡検診を担うのは多くは地域医師会に所属する診療所であり、日々の診療の合間を縫って検査が行われる。鳥取県米子市の胃内視鏡検診に参加している医療機関へのアンケート調査では、参加医療機関の勤務医師は1人がほとんどであるが、平均看護師数は4.2人と報告されている。…検査医と看護職の連携は内視鏡検査を円滑に進める要となる。胃内視鏡検診に
参加している医療機関においてタイムスタディ調査が行われている。…胃内視鏡検査に費やされる時間は、前作業、検査、後作業に分類され、…検査そのものに対して、前作業、後作業共に2倍以上の時間が必要となり、そのほとんどを看護師が負担していた。…複数内視鏡の装備、全自動洗浄機や専用内視鏡室の設置、説明用DVD活用などにより、看護職の負担軽減を図ることが内視鏡検査の効率化につながる。…胃内視鏡検診の導入により、胃がん検診受診率も回復基調にあり、今後の胃内視鏡検診の普及に期待するところである。…まとめ:胃内視鏡検診の推進には多職種連携が必要であり、中でも看護職の役割は大きい。今後は、内視鏡検査やがん検診に専門知識に関する教育研修を拡大し連携を進めることが、胃内視鏡検診の拡大にも寄与する。