筆者は2013年から慶應義塾大学病院腫瘍センター矢作直久教授のグループでRDIの臨床実用化に向けて検証を行い、2018年から2年半は汎用化を目指した臨床研究を行いました…1. RDIで出血点が明瞭に視認できる機序…RDIは600nmと630nmの2つの長波長に狭帯域化した画像強調内視鏡画像で、内視鏡スコープのボタンを切り替えることで瞬時に使用でき…粘膜表層から1000μm~1500μmに存在する直径500μm以上の比較的太い静脈を視認しているとされ、これはブタ胃を用いた動物実験でも検証されました…矢作らは、ESD中の出血時にRDIで観察すると、出血点が明瞭に同定でき、また出血の色が穏やかな黄~オレンジ色に視認できることから、ストレスのない確実な止血処置が可能になる点に着眼しました…2. ESDの止血処置にRDIは有用?~前向究の結果報告~…2016年から国内7施設による前向き多施設共同研究を行い…しかし、主要評価項目と設定した1回の止血時間においてRDIによる短縮効果は認めませんでした…副次的評価項目と設定した、ESD治療時間短縮効果に関しても有意差なし、しかし1回の止血処置中に内視鏡医師が感じる心理的ストレスは5段階の主観評価でRDIが有意に少なく、安全性については問題ありませんでした…期待したRDIによる止血時間や治療時間短縮効果はみられなかったのですが、多くの術者が緊張を強いられる止血処置を少ないストレスでかつ安全に行うことができるのは、RDIの大きな有用性ではないかと考えております。