胃がんは早期発見・早期治療により良好な予後が期待できるがんでもあります。内視鏡発祥の地である日本では、胃がんを早期に発見し、そして内視鏡を用いて治療する技術を発展させ、世界に発信してきました。…1. どのような胃がんが 内視鏡治療の候補となるのか?…「胃の外側に転移をしておらず、局所にとどまっている胃がん」は、胃がんの部位を局所的に切除することで根治的に治療をすることができます。日本には多数の胃がん手術の実績があり、その蓄積されたデータを元に「リンパ節転移の可能性が極めて低い」とされる病変が抽出されました。胃がんは、どの深さまで腫瘍が浸潤しているか(深達度)が大きく転移リスクと関わっていることが分かっています。…1990年代までは内視鏡治療技術に限界があり、腫瘍径が20mmを超えるような大きな胃がん・過去の胃潰瘍の瘢痕上にできた胃がんなどは技術的な問題から内視鏡的切除は困難でした。2000年代初頭にESDの技術が本邦から確立され、これにより胃がんの内視鏡的切除は飛躍的に発展しました。2. 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の発展:日本は胃がんの外科手術においても世界を牽引してきました…3. 根治性の評価:ESDを施行した後、病理評価を行い、内視鏡切除のみでその胃がんが治癒したとみなせるか、判定する必要があります。4. 将来展望:早期胃がんに対する内視鏡治療は日本が世界をリードしている領域です。今後、高齢の早期胃がん患者が増加するに従い、上記の「根治性の評価」についても時代に応じた考え方が必要になってきます。