背景・目的:早期胃癌のみならず進行癌に関しても確実にスクリーニング出来る事が特に1次スクリーニングで重要となってくる。胃がんの検出をAI(人工知能)により支援できれば、医師の労力削減や見落としの抑制が可能である。我々はこれ迄にセグメンテーション技術を用いた、正確な早期胃癌の範囲設定を行えるAI技術を応用した胃癌の診断システムを報告してきた。今回、胃癌の深達度も考慮した早期胃癌から進行癌までの連続した学習セットを用いて、本来の胃癌の1次スクリーニングに適したモデルを作成した。…AI検診スクリーニングモデルの構築法:本モデル構築のために藤田医科大学病院にて撮影された内視鏡画像を用いた。疾患内訳は、正常42症例(1208枚)、早期胃癌95症例(532枚)、進行胃癌50症例(637枚)であり、正常、早期胃がん、進行胃癌の3種類の分類セットとした。内視鏡画像を正方形に切り取った後512×512画素にリサイズし、画像内の胃癌浸潤範囲のセグメンテーションラベルを作成した。学習用画像を回転させた画像を作成し、最終的に正常4832枚、早期胃癌4797枚、進行胃癌4459枚を学習に使用した。…本システムの検診現場での応用提案:現在、胃癌内視鏡検診では、内視鏡画像をクラウドにアップロードし、遠隔で第二読影者が診断するシステムに移行しつつある、そこで、本システムをこのクラウドシステムに装着すれば、第二読影の医師が読影する前に少なくとも胃癌(早期から進行癌まで)の有無が示され、読影状況の大幅な労働軽減が可能になると考えられる。おわりに:AIによる胃癌の確実なスクリーニングのために早期胃癌から進行胃癌までシームレスな指摘システムを構築した。本システムを検診現場で広がりつつあるクラウドに当てはめることにより、二重読影の負担軽減への寄与が期待される。