胃がんリスク検診での偽陰性の多くは、ピロリ菌の既感染(過去に感染があって、現在の感染は無い)です。既感染の方は胃がんリスクがあるにも関わらず、A群に分類されてしまう可能性があります。抗体検査における陰性高値(3 < HpIgG < 10)の方は、既感染の可能性が高いので、現在、その値の人を有リスクとして再分類することを検討しています。 便抗原検査は、現感染を見ているので、今問題になっている既感染を拾い上げることはできません。従って、胃がんリスク検診における偽陰性を減らす目的で組み合わせることは適当ではありません。 ただし、BC群に対して、ピロリ菌除菌を検討する場合、抗体検査では陽性(10以上)であっても、既感染(既に感染は無い)が含まれている場合があるので、尿素呼気テストや便抗原検査を組み合わせて現感染を確実に診断する事は意味があります。 また、D群において、HpIgG抗体価が10以下であっても、現感染の場合がありますので、尿素呼気テストや便抗原検査を組み合わせて現感染を診断して除菌することにも意味があります。 以上まとめますと、偽陰性を減らす目的には、抗体検査の陰性高値( 3 < HpIgG < 10)をハイリスクとして扱うことが追加費用もかからず合理的です。 除菌を目的とした場合には、ご指摘いただいているように、便抗原検査を組み合わせて、現感染を診断することが良いと思います。